2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

てぬぐい(太乃己比)。領布(ひれ)。布を振るということ。

神代の昔、幅が狭く丈が長い布裂(ぬのきれ)を『領布(ひれ)』といい、恋しい人の別れに振ったり、形見にしたりしました。 こんな伝説があります。 537年、新羅に出征するためこの地を訪れた大伴狭手彦と佐用姫は恋仲となったが、ついに出征のため別れる日が訪…

扇の効用

『中島宗次』より 「あつき時に使う、第二祝言に指事也、第三に御座敷にて物をすべて参らする也、第四に刀なくして敵をしりぞくる也、第五に天照大神なり。其故に扇を賞翫する物なり」 古来、扇を『神』とみる『五明』というものがありました。末広がりとい…

扇は「何か」である。それは世界に比類のない「何か」であろう。

白扇 吉野裕子全集 第一巻 人文書院より 先生は扇の使い方をおおよそ 1)構え 2)迫力 3)見立て 4)外連(けれん) の四通りにわけられる。 1)の「構え」というのは儀礼的なもので、扇を前とか横に置き、また横にかまえることもあり、両手にもかまえ…

咒物としての扇。扇を手にして身がまえれば、現実世界を消滅させ、別のある約束ごとの世界をそこにとって代わらせることができる。

吉野裕子全集 第一巻 吉野裕子全集 第1巻 人文書院 32-34Pより 日々の稽古は、膝をそろえて正座し、扇を前において「お願いいたします」と師匠に挨拶することからはじまる。終わるとまた扇を前にして礼をする。舞踊の世界はまったく一本の扇に終始する、と…

かつて蛇は大元の神であった。その神威を舞の動きで顕現するのが大蛇之舞。

蛇-日本の蛇信仰 吉野裕子著 講談社学術文庫241Pより。 蛇はかつては大元の神であり、託宣を乞われれば、蛇巫や物に憑依してその神意を示したのである。蛇は大元の神であり、それを祀る蛇巫は祭祀の中枢にいた。しかし、時代とともに、蛇の神意は衰え、忘れ…

蛇の動きで舞うということは、嫌悪と畏敬という二元の緊張・矛盾・相克の中で舞うということ

蛇 日本の蛇信仰 吉野裕子著 講談社学術文庫 306-308Pより 日本民族が縄文時代から蛇を信仰していたことは明白な事実である。原初において蛇は絶対の信仰対象であったが、知能が進むにつれ、日本民族の蛇信仰の中には、この絶対性、つまり畏敬とは別に、強度…

DUBSTEPと大蛇之舞

140,314,257 回視聴(2019/11/22現在)の動画 2011年の公開当時、観た人たちの目を釘付けにしました。この動画を観て以降、強く影響を受け、しばらくDUBSTEPで舞っていました。はやく動く必要はないこと。ひとつひとつの動きの正確さが大切であること。いろ…

山の神~祖霊としての蛇神~至高最貴の祖先神=蛇身即神~「山即蛇」、山の神は蛇。大蛇(ヲロチ)

山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰 著:吉野 裕子 講談社学術文庫 山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰 著:吉野 裕子 講談社学術文庫 より 日本の古い社の祭神の起源、原像を探ると、伊勢神宮、賀茂、稲荷、諏訪などの大社をはじめ、ほとんどの場合、その行…

山の神について

山の神(やまのかみ) 山を支配し領有する神。農民は田の神と結びつけて考え,山で働く人々は山を司る神と考えるなど,その内容は種々ある。 (1) 山そのものの姿態および山をめぐる自然現象に神秘性を感じて,それを神霊の力なり意志の現れとして神聖視する…

瞬間に消える芸術~舞の真の素晴らしさは、写真やビデオにはうつらない。

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 9Pより 同じように瞬間に消える芸術でも、音楽ならば楽譜がのこる。芝居ならば戯曲がのこる。舞踊の場合は、せいぜい不完全なノート、舞踊譜、あいまいな舞踊台本と称するもの(実際舞踊台本と称するものほど不可解なものはな…

大蛇の舞を半裸即興で舞ってみました

昨夜、フラメンコ用のスカートで舞ってみました。 大蛇の舞・半裸バージョン(笑) pic.twitter.com/EYcWSCzn7S — 安部吉孝@身体操作指導者・舞人 (@yocchan19681) November 19, 2019 性別や種族すら超えた動きを意識しつつ、即興で。 手に何も持たずに舞うの…

踊には難しい理屈はありません。拍子に合せて、心のままに動いて、それが気楽に、ゆったりと、こころよい感じを与える……これが踊のしんになるものです

日本の舞踊 渡部保著 岩波新書 103Pより 三津五郎の踊は「キマリ」があざやかで、味わいの深いものであった。「キマリ」というのは静止したポーズのことであるが、このポーズの身体が黄金分割のようにバランスのとれた美しさであった。黄金分割というと鋭角…

イキイキとしたリアルさ

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 88Pより 私に踊の本当の面白さを教えてくれたのは、七代目坂東三津五郎であった。 三津五郎が教えてくれたことは、およそ二つある。一つは、さまざまな人間たちの肖像を描き出す面白さである。もう一つはそういう具体的な描写…

扇に心をこめる、扇子一本で世を渡る。踊は「普段の動作を音に合わせて行なうこと」。非日常的な空間の、日常化。日常生活の非日常化。

日本舞踊 渡辺保著 岩波書店 140Pより 白扇一本。 それが故人六代目藤間勘十郎の踊の魅力の、秘密であった。 勘十郎の踊の魅力が扇子一本にあるのは、勘十郎が、扇子一本によってその人生を生きてきた振付師だからである。扇子一本あれば、ほかにどんなもの…

血のにじむような厳しい稽古だけがすべて

日本の舞踊 渡辺保著 岩波文庫 163Pより はじめ、私は井上八千代の舞を全く理解することができなかった。どこがいいのかさっぱりわからなかった。 武原はんの、あの姿のとろけるような美しさがあるわけでもないし、三津五郎の、あのわくわくするような人物描…

神の鎮魂~神話の中の舞踊~人間の言語発生以前からもっていた舞踊というコミュニケーション、魂の対話。

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 43P 舞踊は、現代のあらゆる芸術のなかで、もっとも古い起源をもつ芸術の一つである。その歴史はほとんど人間の歴史に等しく、言語発生以前からのものであった。 もっとも舞踊は、その起源においては芸術ではなかった。「自分…

美しいフォルムは、その美しさをこえ、フォルムをこえた時に、その舞手の「身体」の深奥に及んで、人生の生きることの意味を、はじめて人に示した。

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 78P浮世絵と文楽人形。二つとも静のポーズによって成り立つ。人形はさながら人間のように動くものであるが、実は人間とは違った抽象的な「身体の線」を舞台に描くものであり、その意味では、浮世絵と同じく静的な線の連続に過…

身体の美しさこそすべて

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 72Pより そこで必要な物は物語や歌詞の意味ではなく、身体そのものの美しさだったからである。 舞踊を見るたのしみの第一は、この身体の美しさにある。その場合の「身体」の概念がどこまでひろがるかはしばらくおいて、身体そ…

虚の身体をつくる

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 28Pより 舞踊の身体でまず大事なのは、その舞踊にふさわしい基本的な様式を身体がもっているかどうかである。 二代目藤間勘右衛門は、入門した弟子の身体を見て、この子は踊れるかどうかがすぐにわかるといっている。つまり骨…

腕を蛇のように動かす(スネークアーム)

大蛇乃舞は、テクノにも合います。 『Nightcore - Highscore』を合わせてみました。 ヒップホップの影響を受けた大蛇! pic.twitter.com/YMa0xQyUQf — 安部吉孝@身体操作指導者・舞人 (@yocchan19681) November 7, 2019 いわゆる『スネークアーム』。 腕を蛇…

舞うとは廻ること。身体の構えのなかでもっとも大事な中心は腰である。

日本の舞踊 岩波新書175/渡辺保【著】より引用いたします。 能の舞は、能面をつけて装束をまとい、中啓(扇)を手にして、囃子・地謡につれて、すり足でゆったりと、ときには袖をひるがえしつつ舞台をめぐります。その動きはシンプルで、少ない動きの組…

『大蛇乃舞』ブログ始めました。

今日から、はてなブログを書くことにしました。 龍宮~干珠・満珠の舞の衣装のテストの動画。 干珠・満珠乃舞 pic.twitter.com/hp6UlfAvAI — 安部吉孝@身体操作指導者・舞人 (@yocchan19681) November 7, 2019 中身は、52歳のオッサンなわけですが(笑)。 …