「自然発生的音楽 (Spontaneous Music)」ヴァンゲリス

 その場で即興でつくってしまう。つながっている感覚。

 私は、ヴァンゲリスに憧れてきました。

 

 

エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ

 1960年代後半から2020年代まで、音楽芸術など多方面で世界的に活動した音楽家である。1943年にギリシャ中部の港町ヴォロスで、画家の父と音楽家の母のもとに生まれる。4歳から独学でピアノ演奏と作曲を手掛け、6歳で自作曲の演奏会を開いた。高校在学時にプロとして音楽活動を始め、ジャズバンドでヴィブラフォン、ピアノ、オルガンなどを演奏した。高校卒業後は音楽学校などへ進学せず、美術学校で映画と美術を学んだ。音楽理論などはアリストテレスなる人物から個人教授を受けた。

 メロディはシンプルで美しく]、強く印象に残るものが多い。ギリシャおよび地中海東部地域に古くから伝わる5音階旋法にもとづくメロディを用いる事があり、『炎のランナー』序奏の「C」から「G」など完全5度の飛躍を好む。

 

 ヴァンゲリスは楽譜の読み書きができないと発言している。作曲はマルチ・キーボード形式で各種楽器を周囲に配置し、それらを即興的に演奏しながらスタジオで多重録音して楽曲を造形する。

 編曲はシンセサイザーや各楽器を縦横に駆使した多彩で重厚な仕上げが多く、アナログ時代は「ヤマハ・CS-80」や各ポリフォニックシンセサイザーでオーケストラのような厚みや広がりを得ることを得意とした。

 さまざまな民族楽器や打楽器類で独特の色彩や香りを盛り込むアレンジも多い。ジャズの様なインプロヴィゼーションや現代音楽などの実験的アプローチも得意で、1970年代のライヴ公演もほとんどが即興演奏であった。この作編曲方法をヴァンゲリス自身は「自然発生的音楽 (Spontaneous Music)」と称する。