2019-11-14から1日間の記事一覧

踊には難しい理屈はありません。拍子に合せて、心のままに動いて、それが気楽に、ゆったりと、こころよい感じを与える……これが踊のしんになるものです

日本の舞踊 渡部保著 岩波新書 103Pより 三津五郎の踊は「キマリ」があざやかで、味わいの深いものであった。「キマリ」というのは静止したポーズのことであるが、このポーズの身体が黄金分割のようにバランスのとれた美しさであった。黄金分割というと鋭角…

イキイキとしたリアルさ

日本の舞踊 渡辺保著 岩波新書 88Pより 私に踊の本当の面白さを教えてくれたのは、七代目坂東三津五郎であった。 三津五郎が教えてくれたことは、およそ二つある。一つは、さまざまな人間たちの肖像を描き出す面白さである。もう一つはそういう具体的な描写…

扇に心をこめる、扇子一本で世を渡る。踊は「普段の動作を音に合わせて行なうこと」。非日常的な空間の、日常化。日常生活の非日常化。

日本舞踊 渡辺保著 岩波書店 140Pより 白扇一本。 それが故人六代目藤間勘十郎の踊の魅力の、秘密であった。 勘十郎の踊の魅力が扇子一本にあるのは、勘十郎が、扇子一本によってその人生を生きてきた振付師だからである。扇子一本あれば、ほかにどんなもの…