扇の効用

『中島宗次』より

「あつき時に使う、第二祝言に指事也、第三に御座敷にて物をすべて参らする也、第四に刀なくして敵をしりぞくる也、第五に天照大神なり。其故に扇を賞翫する物なり」

 

古来、扇を『神』とみる『五明』というものがありました。末広がりといって祝儀で持ったり配られたり、各地方のまつりで御神体とされたり、新築時の建前のときに柱に神依り代として柱に立てたりしてきました。

扇の用途は動作の補助具として、日を避け、月を仰ぎ、話しかけ、歌をうたい、詩をかき、恥じらいを隠すなど、様々でした。

扇子は魂とされ、大切に扱われました。

本来、扇子を借りる行為自体、扇を大切にしていないということだと思います。ひどい人になると、他人から借りた扇を紛失したりします。依り代をなくしてしまうという行為の意味を考えてみると、それはとても恐ろしいことだと思います。