息災乃舞と増益乃舞

息災(滅罪)乃舞は、一心に懺悔し罪業を除くことで災禍が起こらないように祈り、障礙を息(や)すめる舞です。今年の春に新型コロナウイルス流行鎮静を祈って舞いました。流行は鎮まりつつありますが、コロナ禍により経済状況がよくありません。なので、繁栄と利益を祈り増益乃舞を舞うことになりました。息災は現在マイナスのものをゼロへとリセットし、増益は現在ゼロのものをプラスにするとされており、除災招福を祈ります。まあ、現代では迷信とされておりますが、私は大真面目にやります。

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大蛇面(青)

大蛇面をかけ、装束をまとい、採物を手に舞庭に立つ。エンターテイメント(娯楽)ではなく古代咒術として舞う。誰に観てもらうためでもなく、技法を奉納する気持ちで。実際、観て面白いものではありませんし、見世物ではありません。咒術とはそういうものだと考えております。

コロナ禍をきっかけに、エンターテイメントとして舞うことがなくなった舞人たちは多いようで、私同様に祈りとして舞うようになったというお話をよくお聞きいたします。本来はそうあるべきだったのでしょうし、それがいちばんだと思います。私も、そうしていきたいと願っております。