安部社中(創作舞)

野良舞人のブログです

仲間内でしか通用しない芸を一般公開すると酷評されることがあります

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わかめ

 とあるダンサーさん(アーティスト)が、某イベントで披露した茎ワカメダンスを酷評され、Twitterアカウントを突然削除されてありました。

 仲間内では評価の高いダンサーさんであることは、Instagramを見るとよくわかります。Twitterの不特定多数の一般の方からは、「怖い」「意味がわからない」「ダサい」「マジで恥ずかしくてたまらない」「とても見ていられない」「日本人であることを恥ずかしく思った」「誹謗中傷はかわいそうだけど、テレビに映ったわかめダンスに柴犬が猛烈に吠え散らかす動画は笑った」……というような感じで、情け容赦ないコメントが書きこまれていました。

 また、他の自称歌手(シンガー)さんや自称ダンサーさんなどもライブ風景をSNSで発信されていて、仲間内では賞賛されているものの、やはり一般の方々からは酷評されているようです。こちらの場合は、本人たちが大言壮語(実力以上に大きなことを言うこと。おおげさに言うこと。できそうにもないことや威勢のいいことを言うこと)していることもあり、嗤(わら)いものになっているか、完全にスルーされているようです。

 仲間内でしか通用しない芸は、仲間内だけで披露していれば問題は起こりません。通用しない世界に向けて披露すれば、当然の結果として酷評されることになります。なので、自分の芸は、どこまでの範囲で受けいれてもらえるのかを見誤ることのないようにしないと、かなりのダメージを受けることになる気がいたします。

 完全な自己完結自己満足、つまり自分ひとりで盛り上がっているのであれば問題はありません。自分の世界という範囲を超えて、家族というハードルや友達という範囲になっただけで、いきなり酷評される可能性が高くなります。ファン(特定の人物や事象に対する支持者や愛好者のこと。「熱狂的な」を意味するファナティックの略。)という範囲ですら、酷評はされます。と、ここまでが仲間内なのですが、これから外の範囲では、かなり厳しいことになります。

 能力がなくても、容姿がアレでも、仲間内であれば生あたたかく見守ってもらえる可能性は高いです。しかし、それが仲間でない人たちに通用するかというと、そんなことはありません。なので、人前で何かを披露するときには、それなりの覚悟が必要になってくるように思います。それこそ、全否定されても仕方がないという気持ちでいないと、その失礼な態度ゆえに余計に叩かれることになります。

 現実世界はとてもシビアで、「あなたのパフォーマンスには何の需要もありません」と、あっさり斬られてしまいます。直接そう言われることもあれば、何となく距離をとられたり、わかりやすく無視されたり、酷評されないまでも「もう見たくない。聴きたくない」という意思表示をされることになります。パフォーマーにとっては地獄のような瞬間なのですが、面白くもない芸を無理に押しつけて観客を地獄に突き落としたパフォーマーの方に非があるわけで、先に傷つけたから報復されて傷つくことになっているというのが実際のところだと考えております。

 なので、地道に芸を磨いて支持してくれる人を増やしていくことが大切だと思うのです。支持者でも愛好者でもない人にとっては、単なる迷惑行為でしかないという現実を理解していれば、自己判断で出しゃばって場の雰囲気を壊してしまうことはないはずです。というよりも、場の雰囲気を読めない人に面白いパフォーマンスはできませんから、引っ込んでおいた方が無難だということなのだと思います。

 「自分に、この場に立つ資格があるのか?」という問いを、私はいつもしています。その資格がないと感じたときは、可及的速やかにその場から去ることにしています。観てくれる人が嫌な思いをするのであれば、私のパフォーマンスの意味が消滅してしまいます。パフォーマンスは自慢するために披露するものではなく、面白き世をさらに面白くするためのものだと思います。なので、観てくれる人に嫌な思いをさせることが予想される場合は、身を引くことが大切だと考えております。

 人前で何かを披露すると、狂ってしまうことがあるようです。特に、普段の生活の中で注目してもらえる瞬間のない人や、これまで賞賛されることなく生きてきた人は、たった数回の仲間内からの賞賛で舞いあがってしまい、それが一般世界でも通用すると誤認して突き進んでしまうことになりがちなようです。それは、自分の殻を破ったのではなく、盛大に勘違いをし始めただけなので、どこかの時点で破綻してしまう結果になります。破綻してからリカバリーしようとしても、なかなかに難しい過程となります。

 できる限り仲間内での披露のみを前提として活動していくのが私のスタンスです。