■鹿児島神宮の隼人舞
麻の頭巾をかぶり、麻の狩衣を着装。右手に鉾(ほこ)、左手に中啓(扇)を持つ。
御戸あけ。「お~~~~~~~~~~」と吠声(はいせい)=警蹕(けいひつ)。「吠ゆる狗(いぬ)に代わりてつかえまつるなり(書記)」とある。
献饌、祝詞。
①一礼し、立って鉾を持ち替え、右手を添えて左方へやり、扇を右手に持つ。
②扇を目通りにあげて、右まわりに三回歩く。
③扇を腰高におろして左まわりに三回歩く。
④扇を目通りにあげて右まわりに三回歩く。
⑤扇と鉾を左肩にもってきて、右足を一歩出すと同時に扇をひらく。
⑥鉾を肩にのせたまま、扇はひらいたまま目通りにて右まわり三回歩く。
⑦扇はひらいたまま腰高におろして左まわりに三回歩く。
⑧扇はひらいたまま目通りにあげて右まわりに三回歩く。
⑨鉾をひらいた扇にのせたまま右まわりに三回歩く。
⑨鉾をひらいた扇にのせたまま左まわり三回歩く。
⑩鉾をひらいた扇にのせたまま右まわり三回歩く。
着座。玉串奉奠、撤饌、御戸とざし(吠声)、拝礼、退場。
中村明蔵(2000)は、舞のしぐさについて海の潮が満ちる度合いに対応して変化していると解釈し、その一連のしぐさは「阿多隼人が海辺で海神を迎える神招きのしぐさ」から起源すると考察している。この舞を奉納するのは、代々隼人の子孫でなければならないという慣習がある。『神になった隼人』
鉾と中啓(扇)をもって舞うときの足の動きは、ぐるぐると渦巻き型にまわり、逆回りもします。すると、隼人の盾に似たようなS字型になるのです。ビナマキに通じるものがあります。この場合は、龍蛇に起源する渦巻紋を描いて、悪霊を祓う意味でしょう。下野敏見『御田植祭りと民俗芸能』より引用
※『「隼人舞」研究ノート 今 由佳里』を、参考にさせていただきました。