手の舞い、足の踏むところを知らず。

「手の舞い、足の踏むところを知らず」……古代より祈禱のさいに足拍子が使われてきました。最高の歓喜をあらわす言葉として知られ、古代における足拍子は「踏む」ことが目的であり、「音を立てる」ことは重視されていなかったようです。日本神話の「天岩戸」において、この世が暗闇に包まれたとき、岩戸の前でアメノウズメノミコトが榊をもって「ウケフネ」を踏んで舞ったとされています。民俗芸能において、大地を踏みしめる動作を「反閇」といいます。

邪気を祓い、正気を迎え、幸福をひらくために足踏みをおこないます。悪霊を追い払い、地の中に封じ込め、地上に福を招き、地下で眠っている霊魂が発動して生命を復活させると信じられてきました。

足拍子の効果は、踏みおろした足が静止する動作によって生まれ、それは「腰」で決まります。足の裏をしっかりと地につけ、足と腰で踏み、踏んだら腰を落とすことが大切です。足先で踏むのはよくありません。ふたつ以上踏むときには強弱をつけます。

3月22日(日)に、鹿児島の笠沙恵比寿で舞を納めることになりました。「恵比寿魚釣舞」「天之八衢(やちまた)」の他、足拍子にこだわった舞をやりたいと考えております。詳細が決まりましたら、御案内させていただきます。